離乳食ってなぁに?
母乳や育児用ミルクなどの乳汁を飲んで育ってきた赤ちゃんが、それだけでは不足してくる栄養素を補うために、乳汁から幼児食に移行する過程を「離乳」といい、その過程で与える食事を「離乳食」と呼びます。
一般的には離乳食は生後5〜6ヶ月頃を目安に開始します。
離乳食の完了は、形のある食べ物を噛みつぶすことができるようになり、栄養の大部分を食べ物から摂取できるようになる状態で生後12ヶ月1才半頃が目安です。なお離乳食の完了は、卒乳を意味するものではありません。
離乳食の目的
生まれたばかりの赤ちゃんは母乳や育児用ミルクなどで栄養を摂っています。成長に伴い、母乳や育児用ミルクなどだけでは不足してくるため、エネルギーや栄養素を補うために、離乳食の食材の大きさや固さなどを赤ちゃんに合わせて調節しながら、消化器が発達していない赤ちゃんでも食べ物を食べられるように、約1年かけて練習します。徐々に慣らしていくことで、離乳食完了時には心も体も無理なく食事を受け入れられるようになります。
離乳食を始める目安
生後5〜6ヶ月頃になったら離乳食を開始
1歳ぐらいになると、赤ちゃんはおっぱいや育児ミルクからの栄養だけではたりなくなってきます。5~6ヶ月ごろから離乳食を始め、食べることに少しずつ慣れていくことで1歳近くになったときに必要な栄養をほぼ食べ物からとることができるようになります。遅くても6ヶ月のうちには離乳食を始めましょう。
離乳食開始のサイン
- 首が座って、支えがあれば座れる
- 授乳のリズムが決まってきた
- 大人が食べている様子に興味を示す
- 唾液の量が増えてきた
- 唇にスプーンをあてても嫌がらない
離乳食の進め方・スケジュール
離乳食の進め方
離乳食スタートから完了まで、「ごっくん期」「もぐもぐ期」「かみかみ期」「ぱくぱく期」と、赤ちゃんの食べ方や発達に合わせて4つの段階に分けて離乳食を進めていきます。
【離乳食初期・ごっくん期】5〜6ヶ月ごろ / 1回食
回数 | 1日1回 |
かたさ | なめらかな食材(ポタージュ状・ペースト状) |
【離乳食中期・もぐもぐ期】7〜8ヶ月ごろ / 2回食
回数 | 1日2回 |
かたさ | 舌でつぶせる固さ |
【離乳食後期・かみかみ期】9〜11ヶ月ごろ / 3回食
回数 | 1日3回 |
かたさ | 歯ぐきでつぶせる固さ |

【離乳食完了期・ぱくぱく期】1才〜1才半ごろ / 3回食 + 間食(おやつ)1〜2回
回数 | 1日3回 + 間食(おやつ)1〜2回 |
かたさ | 前歯でかみ切って歯ぐきで噛める |
離乳食の進め方の基本ルール
ルール 1
赤ちゃんの発達に合った形態に離乳食を変えていく
離乳食を始める前は、母乳や育児用ミルクなどの液体しか飲んでこなかった赤ちゃん。いきなり固形物を食べることはできません。歯もまだ生えていないか数本しか生えていないし、消化機能も固形物を受け入れるように発達していません。舌やあごなどの口の動きや消化機能の発達に合わせ、液体に近い状態の離乳食から固くしたり、大きくしたりする必要があります。
ルール 2
「いきなり」ではなく、少しずつ!
離乳食の段階は、目安の月齢になったからといって、急に進めるのではなく、赤ちゃんの様子をみながら進めていくといいでしょう。赤ちゃんの食べる様子やウンチの状態をみながら少しずつ量や硬さ、大きさを変化させていきましょう。初めて食べる食材は、まずは一口からはじめ、問題がなければ量を増やして与えていくと安心です。
ルール 3
離乳食は子供のペースで進めましょう
4つの段階で示されている月齢はあくまでも目安。離乳食のスタート時期は生後5〜6ヶ月と1ヶ月以上の差があり、離乳食の完了時期は1歳〜1歳6ヶ月と半年もの開きがでます。そのため、赤ちゃんの食べる様子やウンチの状態など様子を見ながら赤ちゃんのペースに合わせてあげましょう。他の子供と比べで心配したりする必要はありません。
離乳食のポイント
離乳食を与えるポイント
- 初めて食べるものは「少量」から
- 月齢に合った食材をひと通り与えましょう
- 食材を赤ちゃんが飲み込める形にしてあげます
- 生物はダメ!食材は必ず加熱!
- 離乳食は未熟な胃腸でも消化できる炭水化物からスタート
- タンパク質は脂質の少ないものから順番に
- 「塩分」は負担。離乳食は薄味が基本。
離乳食作りの前に知っておきたいこと
食中毒に注意
離乳食を調理する時は、食中毒を防ぐために気をつけましょう。
- 離乳食は、食材の加熱後につぶしたり、刻むなどの工程が多いため、作る前や食事の前にはしっかり手を洗い清潔な手で調理をしましょう。
- 土のついた野菜は、しっかり水洗いし土をしっかり落としてから使いましょう。
- 調理器具や食器は丁寧に洗い、清潔に保ちましょう。
- 離乳食の魚・肉・卵だけでなく、豆腐なども仲間でしっかり加熱しましょう。
- 調理をしたらなるべく早く与え、離乳食の食べ残しは赤ちゃんには食べさせないようにしましょう。
離乳食に関する注意点
-離乳食で食べさせてはいけないもの-
離乳食では、食べさせていいもの、悪い物に注意しなくてはいけませんが、普段何気なく大人や子供が口にするものでも赤ちゃんには注意しなくてはいけないものもあります。
離乳食で注意すること!
次のものは、ボツリヌス症予防のため1歳未満の乳児には与えないでください。
- ハチミツ、ハチミツ入りの飲料やお菓子など
- 黒砂糖
- コーンシロップ
- 土壌で育ち、洗浄や皮むきが不十分な食事(例:土がついたままの野菜やイモなど)
ナッツ類は、砕いたとしても気管支に入り誤嚥の危険性があるため、5歳頃までは与えないでください。
乳児ボツリヌス症とは、1歳未満の乳児が、ボツリヌス菌を含んだ食品を食べて感染する病気です。加熱しても死滅しないため、加熱・非加熱に関わらず与えてはいけません。
1歳未満の乳児の腸内細菌の生態系は、ボツリヌス菌が定着・増殖しやすいとされています。 そのため大人が食べて健康に影響がない食品も、乳児が食べると乳児ボツリヌス症を発症することがあります。
生後1歳以上になると、腸内環境が整うため、以上の食品を食べても乳児ボツリヌス症は発症しなくなると言われています。
注意して!
東京都では2017年に、ハチミツの摂取が原因と思われる乳児ボツリヌス症による死亡事例がありました。身近な食材ですが、乳児にとっては危険な食品であるということを覚えておきましょう。
食べ物アレルギー

離乳食を開始しました。赤ちゃんが食べ物アレルギーにならないか心配なので、幼い時期はできるだけ避けたほうがいいの?
こんな疑問を持っている人がいますが、それは違います。
食べ物アレルギーの発症を心配して離乳食の開始や卵などの特定の食べ物の開始を遅らせても、食べ物アレルギーの予防効果は見られないことがわかっています。反対に、離乳期に鶏卵を与える時期が遅くなるほど、鶏卵アレルギーを発症するリスクが高くなる傾向があるという研究結果もあります。そのため、日本小児アレルギー学会では、鶏卵アレルギーの発症を防ぐためには、鶏卵は生後6ヶ月頃からよく加熱したものを少しずつ摂取することを推奨しています(※1)。
※1 一般社団法人 日本小児アレルギー学会「「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」の解説(小児科医向け、患者・一般の方向け)について」 https://www.jspaci.jp/news/everyone/20171012-258/
生後5〜6ヶ月頃から離乳食を始め、月齢に応じて適切な食品を食べさせましょう。
ただし、食物アレルギーが疑われる、または、すでに発症している場合は、自己判断で対応せず、お医者さんの指示を受けることが大切です。
フォローアップミルク
フォローアップミルクは、母乳または育児用ミルクの代わりではありません。フォローアップミルクは鉄等が強化されていてミルクと牛乳の中間的な乳幼児用ミルクです。離乳食が順調に進んでいる場合には、フォローアップミルクは必ず飲ませなければいけないものではありません。母乳や育児用ミルクを継続しても問題ありません。離乳食が順調に進まず、鉄不足のリスクが高い場合など、お医者さんなどに相談した上で、必要に応じて使用しましょう。
離乳食は市販のベビーフードも状況に応じて活用しよう
忙しい育児の中、毎食手作りの離乳食作りは大変です。時間のない時、一品増やしたい時、離乳食のメニューに変化をつけたいときなど、用途に合わせて、そして離乳の進行状況に応じて適切に利用しましょう。
- 離乳食は月齢や固さにあったものを選び、子供に食べさせる前には一口食べてみて確認しましょう。
- 市販のベビーフードの大きさ、固さ、とろみ、味付けなどは離乳食を作る際の参考になります。
- 2回食にすすんだら、品名や原材料を確認して、「主食」「副菜」「主菜」を組み合わせるように工夫しましょう。
- 開封後はすぐに与え、食べ残しや開封してから時間が経ったものは食べさせないようにしましょう。
9ヶ月頃になったら「ビタミンD」を含む食材を意識して取り入れる
ビタミンDは骨の成長に欠かせない栄養素。完全母乳栄養の赤ちゃんで、日光に当たる機会が少ない場合に、ビタミンD不足から骨格異常を起こす「くる病」になることがあります。ビタミンDはカルシウムの吸収を促し、骨の形成に重要な栄養素です。不足しないよう魚や卵などの食材を月齢に合わせて離乳食に取り入れましょう。
ビタミンDは日光を浴びることで皮膚でも合成されるので、赤ちゃんに日光浴をさせてもいいでしょう。
9ヶ月頃になったら「鉄」を含む食材を意識して取り入れる
鉄は酸素を体中に運ぶために必要な栄養素。不足すると「鉄欠乏症貧血」になり、発達の遅れにつながることがあります。完全母乳栄養の赤ちゃんは鉄分が不足しやすいため、月齢に合わせて赤身の魚や肉、少量のレバー、ほうれん草などの色の濃い葉物野菜を離乳食に使用したり、調理に使用する牛乳・乳製品のかわりに育児用ミルクを使用するなどの工夫をするといいでしょう。